能美市医師会ホームページにアクセスして頂きましてありがとうございます。 平成20年4月より会長に就任致しました水毛生直則と申します。もとより浅学菲才の身ではございますが、皆様方のご協力を頂き職責を全うしたいと存じますので、前任の村本卓郎先生同様にご厚情を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
当医師会は紆余曲折を経ながらも南加賀診療圏の一翼を担い続け、昨年60 周年という節目の年を迎えました(前会長の尽力により昨年創立60周年を記念して『能美郡と医師会の歴史』が刊行されました)。これまで営々として築きあげられた諸先輩方の事跡に想いを馳せながら、会長としての責任の重さを日々痛感致しております。
さて、昭和58年、当時の厚生省の官僚が提唱した「医療費亡国論」に端を発した医療費抑制政策はその後一貫して国策となり、今日の医療崩壊と呼ばれる事態をもたらした大きな要因となっています。この間医療現場からの切実なる声は一顧だにされず、初期臨床研修制度*1の導入や小泉構造改革により実態*2を無視した抑制策が強行された結果、現状はさらに厳しいものとなっております。
しかしながら、何かと医師・医療機関への非難が強かったマスコミの論調にも変化がみられ、本年4月より問題の多い「後期高齢者医療制度」が導入されたことにより、政府の意図に反して国民の危機意識が高まりを見せたことなど、潮目が少しずつ変わっていく兆しも感じられます。この流れを確固たるものとし、医療の“再生”に向けて何をなすべきか会員とともに考え地域の皆様のため力を尽くす所存でございますので、今後ともご支援の程何卒よろしくお願い申し上げます。
* 1 医学部卒業生が研修先を自由に選択できるようになり、都市部の研修病院に研修生が集中したため地元の大学病院の急速な人員不足がおこり、地域の中核病院などへの医師派遣が難しくなった。これが勤務医の疲弊や医療提供体制縮小の主たる原因となっている。
* 2 医療が高度化・複雑化し、高齢化が世界に類を見ない程の速さで進行しているにもかかわらず、2003年の本邦の医師数は人口1000人あたり2.0人で、OECD(経済開発協力機構)加盟30カ国中27位である。また国民医療費の対GDP(国内総生産)比は8.0%であり同加盟国中19位。さらに対GDP比は2004年度には主要先進7カ国(G7)中イギリスに抜かれ最下位に転落した。
(イギリスでは経済不況化、サッチャー政権が経済効率優先の医療改革を断行。
その結果入院待機者が増加し、手術を1年半待っているという患者が200人に達するなどの異常事態に陥り次期のブレア政権下では医療費拡大政策に方針を転換した。)